「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2017 伊豆(二日目・前半)

翌朝、まずは風呂に行くことにします。

自然木を活かした階段の造形がユニークです。
我々の行動が早過ぎるのかまだ誰も歩いてません。
男女が入れ替わって巨木風呂の方へ。
ガボン共和国から持ってきた樹齢1200年のものを日本に1台しかないNCルーターで云々。
上がってくステップは端材から伐り出したんでしょう。
ブビンガの巨木を刳り抜いた風呂です。

この材は密度があって堅くて重いので、ベースやドラムに用いられることで有名ですね。
巨石風呂ほど大きくはありませんが、それでも詰めれば4~5人は入れそうな広さがあります。
なんかいい感じに風化してますな~。
巨木風呂に比べると全体的に一回り小さい印象です。
そのまま一人で館内をウロウロしてみます。
細かいトコまで演出が効いてますね。
夜は貸し出してくれてたんですね。

借りれば良かったかも。
湯ヶ島は伊豆半島を代表する名湯の一つですが、御多分に漏れずいささか衰微の翳が忍び寄って来ている印象。
風格ある旅館もこの通りの荒れ具合。
そんな中を縫うようにして散策路が整備されてます。
却ってイメージダウンになりゃしませんかねぇ!?
谷川を望む浴室も既に廃墟と化してる模様。
一生懸命盛り上げたい地元の気持ちはよく分かるんですけど、何かちょっとポイントがズレてる気がしないでもない・・・・・・。
え!?ズレてんのはオマエの方だろ?って。
意外に谷は深く、落ち着いた渓谷美を見せています。
男橋、だそーっす。

カップルの男女がそれぞれの橋を渡って会うと・・・・・・とかナントカ、取って付けたような謂れがちょっとアレですな。
ハートのモニュメントらしいですが、こりゃぁ巨大ボディピアスでんがな。

愛の誓いに性器ピアスってコトですかねぇ?
彼方に見えるのは「落合楼村上」。

落合楼はかつて主人が持越金山を発見したことでも知られますが、その後経営破綻し、今は全然別の経営になってます。
そいでもってこっちは女橋。

ムリクリ感が溢れまくり。
それにしても廃業した旅館がやたら目につきます。
玄関先にプランター並べんでもエエやろうに・・・・・・。
ネコ連れてきたら良かったかな?

どうせショボいに決まってそうなんで中は確かめませんでした。
色褪せたタクシー乗り場兼観光案内所の看板。

歴史のある温泉地には欠かせないシーナリィの一つと申せましょう。
白壁荘の上の消えかけてるのが、巨大な骸を晒してた「千勝閣」の看板。

ネーミングからするに恐らくは日露戦争後くらいの創業だったんでしょうが、過当競争には負けちゃったワケっすね。
ちょっとばかし感傷的な気持ちで宿に戻って来ました。

温泉街って、町全体が生き残らないと風情や佇まいはダメになっちゃうと思います。
相変わらず静まり返った館内。
部屋に戻るとヨメは二度寝してました(笑)。
まぁ、普段はネコに餌をせがまれて早くから起こされてるんで仕方ないですね。
そうこうするうちに朝食の時間になりました。

もちろんこれはおかずではありません。
ワリとシンプルな感じの朝食。

思うに朝食については二極化が進んで来てる気がします。
手前が山クラゲ、左奥が山ゴボウ、右が百合根の和え物だったかな?
温泉玉子。
奥は切干大根の煮物。
野菜サラダ。
湯豆腐。

朝から火を使うのを2つにするのはちょっと高めの旅館では定番になりつつあります。
伊豆だけあってアジの干物。
なめこの味噌汁。

ワリと軽めで楽勝完食!
昔の乗合馬車の運賃表。

修善寺駅までが25銭、沼津までが1円15銭となってます。
一時はノーベル文学賞候補とまで騒がれたのに、井上靖も何となく過去の作家になっちゃいましたね。
そろそろ出発することにします。

相変わらず天気はパッとしません。
そうして再びやって来たのは持越金山跡。

だってまぁ宿から15分くらいで着くワケですし。
今回は西側の一帯を探索してみます。

一応こっちも立入禁止となってますんで、コソッと潜入。
建物はワリと新しいのですが、荒れ方自体はこちらの方がひどい印象。
ガランとした巨大な空間。

想像ですが、こちらはいろんなガラクタから貴金属を再生するための貯蔵場と最初の粉砕をする場所だったのではないかと思われます。
巨大な窯らしき設備。
同じのが二基立ってました。

これもあくまで想像ですが、最初にザッと選別して、焼いてスラッジを取り出すような行程だったのではないかと・・・・・・。
え!?撮影したか?って?
それがですね~、何だか単なるゴミ処理場みたいな雰囲気であんまし気乗りしませんで・・・・・・。
ベロンベロンになった階段を下りてみる勇気はありませんでした。
巨大なクレーン。
まぁ、これはこれでインダストリアルな雰囲気がありますね。
今は再生工場は東京都内に移っちゃってます。

原料のパソコンや携帯電話をワザワザ山の中に運ぶ手間を考えりゃ当然ですね。
水溜りに藻が繁殖して気色の悪い文様を描いてます。
いまいち仕組みが分からないんですけど、貴金属を含んだスラッジはこっちから出てたのかな?
ちなみに鉱山設備には強力な酸・アルカリだけでなく、特に金山だと青酸化合物が使われることが多く、ムダに立入禁止にしてるわけではない、ってコトは覚えておきましょうね。
抽出した金属にさらに処理を施してたものと思われます。
激しく壊れてるのは恐らく数年前の豪雪の影響でしょう。
木造の選鉱場の繊細さはこちらにはないものの、これはこれで迫力あるかも。
しっかし、比較的近年の設備であるにも拘らず鉄骨類がグニャグニャに曲がっちゃってますな。
鉱山施設は使われなくなると、たとえ鉄骨でも劣化が進むのが早い。
まぁ、至る所で危ない薬品使ってるワケですしね。

後半は半島を北上して行きますが、天気は何だかますます悪くなっていてる気がします。
----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
Copyright(C) REWSPROV All Rights Reserved