「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2014 群馬V(初日・後半)

草津の温泉街を抜けると、晩秋の高原の風景が広がっています。
こういった寂寥感漂う風景こそが本来の信州の姿なのかな?と思いますね。
からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりけり。
(北原白秋)
そうこうする内に湯気の上がる滝が見えてまいりました。
目的地はすぐそこです。
湯気は上がってますが、とても入れる温度ではありません。
赤い酸化鉄鉱床の露頭が見えます。
ここはかつて露天掘りの行われる鉄鉱山でした。
その跡地がこうして整備されています。
チャツボミゴケっちゅうのは、強酸性の水にしか生育しないとても珍しい種類である云々・・・・・・。
落ち葉の積もった道をさらに上がって行きます。
入れたら最高なんですが・・・・・・夏でもちょっと温いかも。
濛々と湯気が上がってますね。
湯温が高いのではなく、気温が低すぎるんです。
登って来た方を望む。
公園、ったって簡素な木道がグル〜ッと一周するように設けられてるだけです。
一面に生えてるのがそのチャツボミゴケ。
アップにするとまるで阪急電車のシートの天鵞絨のよう。
要はここは古い爆裂火口跡で、そこから湧出する温泉水に育ってるワケですね。
この辺が源泉の一つ。

ビッシリと白い湯の花が付いています。
違う種類の苔も頑張る。
通称「穴地獄」と呼ばれるのは、硫黄成分で虫とかが死ぬからでしょう。
実はここ、かなり前から注目してたんですが、入れる温度ではないってコトで後回しになっちゃってました。
・・・・・・ってムチャクチャ寒いんで、フツーにスナップショット撮っただけっすよ。
他に観光客もおらず、絶好のタイミングだったんですが(笑)。
濡れ落ち葉・・・・・・にはなりたくねぇな〜。
新しいカメラのセットは発色がとても自然・・・・・・従来のはピクチャーナンタラを「スタンダード」にするとちょっと不自然に地味でした。
かつて鉱山だったことを物語るトロッコのレールが頭を出しています。
ひょっとしたらインクラインのものかも。
しかし、これ以外にかつて鉱山だったことが分かるものは何一つ残っていません。
ユックリと下って行きます。
ちなみにここで掘られた鉄鉱石は索道で運ばれ、長野原線の支線の太子から運ばれていました。
今なおコンクリートの巨大なホッパーが駅跡には残ってます。
そっちも回ろうと思ったんですが、天気も悪いしまた今度、ってコトで。
そのまま一気にR292を上がって万座温泉到着。

このところ草津白根山が不穏な動きを見せてるんですが、まぁそんな大噴火はねぇだろ!?と。
今夜の宿は「豊国館」。

「日進館」と並ぶ老舗ですが、いろいろあって最近ちょっと元気がない。
ガランとした玄関は、スキーの乾燥室も兼ねてるためです。
何と創業者は草軽電鉄の社長だったんですね。

他にも鉄道関係の書籍コレクション多数。
何はともあれまずは風呂。
・・・・・・って、露天に入ってもまったく眺望の開けないくらいにガスッてます。
すぐ真下は道路なんですが、何にも見えません。
ここは万座でも少なくなった混浴の露天で有名。
寒い〜!とか言ってます。

撮ってるおれも寒い!って(笑)。
泉質はかなり強烈な酸性硫黄泉で、硫黄含有量は日本一とも言われます。
ともあれ暖まってホッと一息。
内湯は別浴になっています。
永六輔やボニージャックスが贔屓にしてたんですね。
随所に古い湯治場の雰囲気が残っています。
帳場の周囲もこんな感じ。

大学生らしき集団が段ボールに食材いっぱい詰めてやって来ました。なるほど、そんな自炊もありだと思います。
夕食まで時間がまだあるので外を歩いてみることにしました。
サッパリでんな、こりゃ。
霧にかすむ木々の風情は好きですけど・・・・・・
ひたすらこれではどうにもなりません。
結局、寒かっただけでした。
実際に赤々と火が燃えるストーブはファンヒーターよりも暖かく感じます。
そうこうする内に夕食の時間となりました。

メインはカキフライ、空豆、サラダ。
山のてっぺん近くだけど鮪の刺身。
塩サバ。
おでん風の煮物
一応とろろ蕎麦なんかも押さえてあって・・・・・・
あとは信州ではよく食卓に上る塩イカの酢の物と漬物
まぁ、如何にも山小屋っぽい簡素な献立でしたが、この風情がいいんですよ。
リニューアルされたのか、部屋はとても綺麗でした。

明日はいくつか廃鉱山を回ります。
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