「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2016 埼玉

盆の真っ只中、遠出しても渋滞に巻き込まれそうなので近場の埼玉方面に日帰りで出掛けてみることにしました。
まずは関東で行き残している懸崖造の一つである、吉見の岩室観音に到着。
房総ゴリゴリ系にも通ずるグニョグニョした穴の向こうには石仏群。

八十八体あって、ミニお遍路さんになってるようです。
最近はこれらの首を折るバチ当たりがいるらしい。

あきまへんがな。ロクな死に方しまへんで。
奥に堂宇が続いてるのかと思ったら何もありませんでした。
・・・・・・あ、これが懸崖造だったワケね。

良く見ると倒壊防止のつっかい棒が。
ん!?

気が付かんかったな・・・・・・。
あ〜、これですかぁ〜・・・・・・(棒読み)。
観音堂の二階に上がってみます。

木の元の形が分かるような荒々しい梁が特徴ですね。
こうして見ると山奥のように見えますが、実際は狭い道路を挟んで向かい側に民家が立ってたりします。
ちなみに吉見百穴も岩窟ホテルもすぐ近く。
現物合わせで組み合わせて行ったんでしょうが、スゴい技術。
一面に馬の顔が描かれ、それぞれに名前が書き込まれています。

これがホントの絵馬・・・・・・なんちって。
ちょっとロケーションとしては撮影したかったですね。
それにしてもあんまし懸崖造に見えないのがここの難点。
単なる山門かと思いましたもん。
ちなみにこの辺は最近お気に入りの35mm/F1.8で撮りました。

50mmより融通が利く感じです。
百穴温泉も過去の話になりました。良い鉱泉だったんですけどね。

ワニと露出マニアによってツブされたようなモンです。
そのまま一般道を西進しやってきたのはだだっ広い畑の中。
東京第二陸軍造兵廠櫛挽製造所跡です。

元はこのような施設が幾つもあったそうですが、現存するのはここ含め数ヶ所。
中は見事にガランドウで、軍に関するものは何もありません。
今はどうやら周囲の畑の農機具類の物置になってる模様。
取り敢えず上に登ってみることにします。
窓が小さく、建物の大きさの割に壁が分厚いトコからすると火薬に関係するものを作ってたのかな?と思いますが・・・・・・。

有名な岩鼻火薬製造所も距離的にはワリと近かったりしますし。
2階も見事に何も残っていません。
ともあれ、こんな町工場に毛の生えたようなスペースで一体全体マトモな兵器が作れたのか大いに疑問です。
左側は明らかにBBQの鉄板ですよね。
ここではチョロッと撮影敢行。

しかし360度視界が開けた場所で大変でした。
それにしても昔のコンクリートは頑丈ですね。

なまじ鉄筋を入れてない分、経年劣化に強いって聞いたことがあります。
いささか戦跡と呼ぶにはショボい場所でした。

オマケに堆肥がモーレツに臭かったりしますし(笑)。
続いてこれも有名な深谷の日本煉瓦製造跡へ。
日本に数ヶ所しか現存しないホフマン窯が残っていることで有名ですが・・・・・・
盆なのに休み。

だからお役所仕事はダメなんだと言いたい。
ちなみに商売を畳んだのは2006年と、意外に最近まで操業していました。
最盛期は専用線も引かれ、東京駅や迎賓館の建設にも使われたそうです。
ちなみに渡良瀬遊水地の近くの乗馬クラブ敷地内にもホフマン窯は残ってます。
さらに引き返すように進んで熊谷の妻沼聖天に到着。

巨大いなり寿司で有名な「聖天寿司」の店の前で。
ちなみに日本一暑い町を標榜する熊谷は「雪くま」なるかき氷で街興ししようと奮闘中。

騎崎屋はそんなお店の一つ。
まぁ、要するに昔からある門前の茶店ですな。
大分陽も上がって来て暑いので食べてみることにしました。
喫茶・軽食みたいなメニューですね。
抹茶あずきミルクが出て来ました。
ヨメの頼んだ「梅こおり」。

梅シロップは自家製とのコト。
要はチャンとした鉋で薄く広くフワフワに掻いた、昔ながらのかき氷でした。
ちょっと涼しくなったんで聖天様に入ってみることにします。

「三聖吸酸」とはなんか中国の故事にちなむものらしい。
どうも利根川沿いの町って見どころに乏しい印象がありますよね。
仁王堂は低いけど横幅がエラくあります。
鰐口がここに懸かってるのはひじょうに珍しいかも。

参拝客が殺到してさばききれないゆえの窮余の一策でしょうが。
これが聖天堂。

平たく言うと本堂ですね。
コテコテの意匠がマニエリスティック。
・・・・・・で、もっと凄まじいのがその裏手。

日光の陽明門もたまげる倶利伽羅紋々のゴッテゴテ。
絢爛豪華な極彩色の彫刻群で隙間なく埋め尽くされた、とんでもなくバッドテイストな建物です。
意匠はいろんな中国の故事にちなんだモノのようです。

ちなみにここまで彩色が鮮やかなのは2003年から7年がかりで修復工事が行われたからです。
何でこれが国宝に指定されて、一方で全身タトゥーだと風呂入るのも拒絶されたりするのか良く分かりません。

・・・・・・一緒やんか。
昨年訪ねた板倉の雷電神社とひじょうに似ており、あるいは地元同士で豪華さを張り合ってたのかも知れません。

それにしても暑い。やっぱ熊谷ですわ。
いつの間にかちゃっかり地元ボランティアの説明を聞いてます。
もう一軒のいなり寿司で有名な店、「森川寿司」。
こちらでも一折買うことにしました。ちなみに値段はどちらも460円。

最近購入したクーラーバッグが大活躍。

ちなみにいなり寿司を扱う店はあともう一軒、ちょっと寺から離れたトコに「小林寿司」というのがあります。
妻沼聖天、予想以上に楽しめるトコでした。
東に行った妻沼展示館ってトコに、「かめ号」なる愛称の一輌の古いディーゼルカーが展示されています。これも今日の目的の一つ。

ちょっと半ベソをかいたような典型的な湘南型の面構えですね。

この展示館付近にかつて東武妻沼線の終着駅がありました。
妻沼線は軍事路線として突貫工事で作られ、対岸の中島飛行機のある小泉と繋がるはずでしたが、結局利根川を越えることはできませんでした。

とにかく最短距離で結ぼうとして途中の集落を全く無視して作られたために、ひじょうに不便だったと言われています。
戦前のガソリンカーのような台車。

そんなこんなで他の東武の路線とは切り離されたままの中途半端な盲腸線として戦後も細々と残り、最後まで非電化のまま昭和58年に廃線になっています。
南下して熊谷の市街地にやって来ました。
・・・・・・目的はこれ。

まるで民家な佇まいがシブいっすね。
「本間古伝」って、何だか日本の武道みたい(笑)。
あまり知られてませんが、この店は多くの焼きそばマニアに絶賛されてるのです。
どれにしようかな〜?・・・・・・ではなく、スマホ弄ってるだけ(笑)。
いやいやこの七味入れの風合い、1年や2年では出せませんな。
やっぱ単焦点ってちょっとしたモノ撮ってもすごく絵になる気がします。
厨房ではオバチャン作成中。

凄いと思ったのは、持ち帰り用を拵えて包み終わった途端にお客さんが取りに来たこと。阿吽の呼吸、っちゅうヤツですな。
焼きそば(中)420円也が到着。
たしかにココ、世評に違わず劇的に美味い。

とにかく硬めに歯応えを残して仕上げられた麺が独特。ただ、蒸し麺のムニュッとした感じが好きな人だと馴染めないかも知れません。

食感で言うと伊那のローメンの対極にある感じです。
サービスに胡瓜の浅漬け。
続いてフライ(大)390円也も到着。

半分に畳まれて供されるのが独特。こちらもかなり美味い・・・・・・どころか行田の有名店より美味いかも。
いや〜、大満足♪

ラーメンなんかと違って焼きそばは零細な経営が多いので、興味のある方はお早めに。
さらに暑くなってきた中、「さきたま古墳公園」って看板が見えたので寄ってみることにしました。
この辺はワリと大きな古墳が点在しているのです。

円墳、方墳、前方後円墳・・・・・・それを覚えて一体全体何の役に立つのか良く分からないまま、昔勉強させられたのを想い出します。。
しかし、それにしても暑い。

茹だるような暑さ、っちゅうヤツです。
歩いてる人はみんな俯いて、何してるのかと思ったらポケモンGO!でした(笑)。

ヨメによるとここはものすごく沢山出現してるとのコトです。
しかし、やはり暑い。

しつこいようですが「暑い!」、以外の言葉が出て来ないくらい暑い。
あまりの暑さに早目に家に帰ることにします。
帰宅後、晩御飯に件のいなり寿司を開けてみました。

右が聖天寿司、左が森川寿司。
上が聖天寿司、下が森川寿司。どっちもいなりが3つ、太巻きが4切れ。

色は薄いが聖天寿司の方がやや甘目・・・・・・って、どっちもかなり強烈な甘さですが。

ともあれ、案外色々楽しめた小旅行でした。
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